コラム

緑内障治療の費用対効果

2026.09.01

緑内障の治療は点眼薬による治療が基本というイメージがありますが、海外の研究では、治療の初期段階からレーザー治療を行うことで、点眼治療に伴う負担だけでなく、経済的な負担を軽減できる可能性も示されています。

 

当院では、緑内障の患者さんで手術の適応がある名合には、基本的に手術をご提案しています。一方で、手術はまだ早いと考えられる患者さんには、症状や希望に応じてレーザー治療をご提案することもあります。

 

今回は、開放隅角緑内障のレーザー治療、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)について、費用対効果の観点から解説します。

 

点眼治療とレーザー治療

一般的に緑内障の治療では、点眼薬で眼圧を下げる治療を行います。

しかし、「毎日の点眼が大変」、「充血やまぶたの色素沈着など副作用が気になる」といった声も多く聞かれます。

 

特に初期の緑内障は自覚症状がほとんどなく、毎日の点眼や定期的な通院を負担に感じ、治療を離脱してしまう方も珍しくありません。

また、見えづらさを自覚して受診した時には、すでに視野障害が進んでしまっていたということもあります。

 

そのような方には、開放隅角緑内障に対するレーザー治療である、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)も治療の選択肢として検討されます。

SLTは、眼球の中の房水の排出にかかわる線維柱帯にレーザーを照射し、房水の流れを改善することで眼圧を下げる治療です。

 

これまでSLTは、点眼治療を行っても眼圧のコントロールに十分な効果が得られない場合などに検討されることが一般的でした。

しかし、2019年に世界的権威をもつ医学誌『The Lancet』に掲載されたイギリスのLiGHT研究では、開放隅角緑内障の患者さんに対しSLTを治療の第一選択(一番初めに行う治療)としてSLTを行った場合、点眼治療と比較して、良好な眼圧コントロール効果と費用対効果が得ることが示されました。

こうした研究結果から、SLTは治療の初期段階から選択肢の一つとして検討する考え方が広がっています。当院でも、患者さんの眼の状態や治療への希望を踏まえ、SLTを治療の選択肢の一つとしてご提案しています。

 

 

SLT治療の費用対効果

LiGHT研究では、SLTを受けた患者さんの74.2%が、3年間にわたって目標眼圧を維持するための点眼を必要としなかったことが報告されています。

また治療費についても、SLTを第一選択とした場合、点眼治療と比較して費用対効果が高いことが報告されています。

 

英国の研究結果を、そのまま日本の3割負担の保険制度に当てはめることはできませんが、ここでは単純計算で、それぞれの治療にかかる費用を比較してみます。

 

■点眼治療

3割負担の場合:約5001,000/本 ※点眼薬の種類によって費用は異なります、

・月1~2本使用した場合:年間約12,00024,000

 

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)

3割負担の場合:約30,000円/片眼

 

例えば、SLTの効果が3年間持続し、その間は点眼薬を必要としなかった場合、治療費用だけを単純に比較すると両眼で約60,000円となります。

同じく3年間、月12本の点眼治療を行った場合は、約36,00072,000円がかかる計算になります。

 

もちろん、実際の医療費は処方する点眼薬の種類や本数、診察や検査の回数などによって異なるため、単純に治療費だけを比較することはできません。

 

しかし、SLTによって点眼薬の使用量を減らすことができれば、長期的には薬剤費だけでなく、毎日の点眼にかかる手間や負担も軽減できる可能性があります。

 

例として挙げると、次のような負担です。

・毎日の点眼

・点眼を忘れてしまうことへの不安感

・点眼による刺激や充血、色素沈着などの副作用への不安

 

このような治療に伴う負担も含めて考えると、SLTは長期的な治療の負担を軽減できる可能性のある選択肢の一つと言えるでしょう。

 

当院でもSLT治療を行っています。

SLTは初回にまとまった治療費がかかる一方、点眼治療は継続的な費用が発生します。

緑内障は生涯付き合っていかなければならない病気だからこそ、ご自身の日々の負担や生活スタイルを考慮しながら、ご自身にあった治療法を選択することも大切です。

 

すでに緑内障の治療を受けられている方で、毎日の点眼に負担を感じている方や、点眼の副作用でお困りの方も、お気軽にご相談ください。

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