適応検査
まず、お子様がオルソケラトロジーレンズの適応があるかを確認します。角膜形状解析や屈折検査などの詳細な検査をおこない、安全に治療を受けられるかを評価します。
オルソケラトロジーは、睡眠中に特別に設計されたハードコンタクトレンズを装着することで、日中の裸眼視力を改善する画期的な治療法です。このレンズは角膜の形状を一時的に変化させ、近視や軽度の乱視を矯正します。朝レンズを外した後も、その形状変化の効果が持続するため、日中は眼鏡やコンタクトレンズなしで過ごすことができます。
この治療法は特に小児の近視進行抑制に効果があると科学的に証明されており、現代の小児近視管理において重要な選択肢となっています。
近視度数 | -4.00D(ディオプター)まで |
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乱視度数 | -1.50D以下 |
これより強度の近視や乱視の方には、他の視力矯正方法(ICL手術など)が推奨されます。また、角膜疾患や重度のドライアイがある方は適応外となる場合があります。
オルソケラトロジーレンズは、通常のコンタクトレンズとは全く異なる特殊な形状をしています。中心部が平らで、周辺部に向かって段階的に急なカーブを描く「リバースジオメトリーデザイン」と呼ばれる設計です。
レンズの圧力と涙液の力によって、角膜の表面細胞(上皮細胞)が緩やかに移動します。これにより角膜中央部が平らになり、周辺部はやや急なカーブになります。
近視の目では、光が網膜の手前で焦点を結びます。角膜中央部が平らになることで光の屈折力が弱まり、焦点位置が後方にずれて網膜上に正確に結ばれるようになります。
これは永久的な変化ではなく、レンズを装用しなくなると数日で元の状態に戻ります。しかし、毎晩装用することで、日中は良好な裸眼視力を維持できます。
近年の研究では、オルソケラトロジーが小児の近視進行を約30〜50%抑制することが示されています。
オルソケラトロジーにより角膜形状が変化すると、周辺部網膜に届く光の焦点位置も変わります。これが眼球の過剰な成長を抑制することになります。
近視の進行は主に眼球が前後に長くなること(眼軸長の伸長)によって起こります。オルソケラトロジーはこの眼軸長の伸びを抑える効果があります。
特に、低濃度アトロピン点眼薬(マイオピン)との併用で、さらに高い近視抑制効果が期待できることがわかっています。
マイオピン点眼(低濃度アトロピン点眼薬)は、調節機能を部分的に抑制することで近視の進行を抑える効果があります。当院ではオルソケラトロジーとマイオピン点眼の併用療法をご提供しており、このようなメリットがあります。
マイオピン点眼は就寝前に1滴点眼するだけの簡便な方法で、副作用も最小限です。
当院でのオルソケラトロジー治療は、以下のステップで進めていきます。
まず、お子様がオルソケラトロジーレンズの適応があるかを確認します。角膜形状解析や屈折検査などの詳細な検査をおこない、安全に治療を受けられるかを評価します。
治療の仕組み、効果、リスク、費用、お手入れ方法などについてくわしくご説明します。ご不明な点や疑問点は遠慮なくご質問ください。
適切なレンズを選定し、装着・取り外しの練習をおこないます。トライアルレンズをお試しで貸し出し、実際の効果や装用感を確認していただきます。
約2週間後に再来院いただき、視力改善の効果やレンズの適合状態を確認します。問題がなければ、オーダーメイドのレンズを正式に注文します。
レンズ装用開始後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、以降は半年ごとの定期検診をおこないます。角膜の状態や視力の変化を継続的に観察し、必要に応じてレンズ調整をおこないます。
当院では、お子様の近視状態や生活スタイルに合わせた最適な治療プランをご提案しています。
近視の進行が心配な保護者の方、日中裸眼で過ごしたい方は、ぜひ一度さわだ眼科・皮膚科までご相談ください。お子さまの大切な目の健康と将来のために、眼科専門医がお子様に合わせた近視治療をご提案させていただきます。