- HOME>
- 斜視・弱視
日常生活の中で、お子さまにこのような行動はみられませんか?
- テレビに非常に近づいて見る
- 物を見る際に目をしばしば細める
- 物を見るときに頭を一方向に傾ける習慣がある
- 片目を閉じたり、手で覆ったりして物を見る
これらの行動は、お子様が物を見る際に不便を感じている可能性を示しています。特に片目の視力が良好な場合、もう片方の目の弱視に気づきにくいという点が重要です。斜視や弱視は早期に発見し治療を進めることで、視力の発達に良い影響を与えることができます。
斜視について
斜視とは

斜視とは、両目が同じ対象を見ているにも関わらず、一方の目が異なる方向を向いてしまう状態です。正常な状態では、両目は対象に焦点を合わせ、脳が両目からの情報を統合して立体的な視覚を形成します。
斜視の種類
内斜視 | 片方または両方の目が内側(鼻側)に向く |
---|---|
外斜視 | 片方または両方の目が外側(耳側)に向く |
上斜視 | 片方の目が上方に向く |
下斜視 | 片方の目が下方に向く |
斜視は子どもの約2%に見られる比較的一般的な症状です。早期発見と適切な治療が非常に重要です。
斜視の原因
眼筋の機能異常
目の動きをコントロールする外眼筋のバランスや機能に問題があると、目の位置がずれることがあります。
神経系の問題
脳や眼を動かす神経に障害があると、目の動きが適切にコントロールできなくなります。
屈折異常(特に遠視)
強い遠視を持つ子どもは、物をはっきり見るために強い調節が必要で、これが内斜視の原因となることがあります。
視力不良
片目の視力が著しく低下している場合、その目が正確に対象を捉えられず、斜視が生じることがあります。
斜視の検査方法
斜視の適切な診断には、次のような専門的な眼科検査が必要です。
視力検査 | 年齢に応じた方法で視力を測定します |
---|---|
屈折検査 | 調節麻痺剤を使用し、屈折異常を正確に測定します |
眼位検査 | 光を照射した際の角膜反射や遮閉試験で斜視を評価します |
眼球運動検査 | 9方向の眼球運動や輻輳(両目が内側に寄る動き)を確認します |
斜視の治療法
斜視の治療は原因や種類、年齢によって異なりますが、主な治療法は次の通りです。
眼鏡による矯正
遠視が原因の調節性内斜視の場合、適切な凸レンズの眼鏡で過剰な調節を軽減し、斜視を改善します。
薬物療法
調節性の内斜視に対して、調節を緩和するための目薬が用いられることがあります。
斜視手術
非調節性の斜視や、眼鏡での矯正が不十分な場合には、外眼筋の付着位置を調整する手術が選択されます。
視能訓練
両眼視機能を回復・強化するための訓練がおこなわれることがあります。
弱視について
弱視とは
弱視とは、視覚器官に明らかな異常がないにもかかわらず、メガネやコンタクトレンズによる矯正をおこなっても視力が十分に発達しない状態です。視力発達が活発な乳幼児期に両目が均等に使われないことで発生します。早期発見と適切な治療が非常に重要です。
弱視の原因
斜視性弱視
斜視により両目から入る視覚情報が異なると、脳は使われない目の情報を抑制し、その目の視力発達が阻害されます。
屈折性弱視
両目または片目に強い屈折異常があり、適切な矯正がなされない場合、視力の発達が妨げられます。特に両目の屈折度数に大きな差がある場合(不同視)、差の大きい方の目が弱視になりやすいです。
形態覚遮断弱視
先天性白内障や眼瞼下垂など、視覚情報が網膜に到達することを物理的に妨げる状態が原因で生じる弱視です。
弱視の診断方法
弱視は特に片目だけが影響を受けている場合、外見からは判断が難しいため、定期的な視力検査が重要です。
視力検査 | 両眼および片眼ずつの視力を測定します |
---|---|
屈折検査 | 屈折状態を測定し、遠視、近視、乱視の程度を評価します |
固視検査 | 視対象を網膜の中心で正確に捉えているかを調べます |
眼の構造検査 | 視力低下の原因となる構造的な異常がないかを確認します |
弱視の治療法
弱視の治療は、原因を特定し、早期に開始することが重要です。視力発達が活発な時期(特に8歳頃まで)に治療をおこなうことで、良好な結果が期待できます。
屈折矯正
適切な眼鏡やコンタクトレンズによる矯正をおこないます。特に不同視や高度の遠視、乱視がある場合、正確な矯正が重要です。
健眼遮閉法(パッチング)
健康な目をアイパッチで覆い、弱視の目を積極的に使うよう促します。弱視の程度や年齢に応じて、遮閉時間を調整します。
ペナリゼーション療法
散瞳薬を健眼に点眼し、近見視力を一時的に低下させることで、弱視眼の使用を促します。
視能訓練
視能訓練士による専門的な訓練がおこなわれることがあります。両眼視機能の向上を目的としたトレーニングが含まれます。
斜視と弱視は密接に関連しており、早期発見・早期治療が非常に重要

お子様の目の健康に少しでも気になることがあれば、早めに眼科専門医にご相談ください。定期的な視力検査を通じて、斜視や弱視の早期発見に努めることが、お子様の視覚発達と将来の可能性を広げる第一歩となります。お子さまの目に関する不安や疑問がありましたら、お気軽にさわだ眼科・皮膚科までご相談ください。