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アレルギー性結膜炎とは

アレルギー性結膜炎は、外からの異物(アレルゲン)に体が過剰に反応することで起こる目の炎症です。主な症状として、目のかゆみ、充血、腫れなどの不快な症状が現れます。
現代社会では、清潔な環境がむしろアレルギー性疾患の増加を招いているという説があります。特に結膜(白目の表面を覆う薄い膜)は空気中の異物と直接触れ合う部位のため、アレルギー反応が起きやすい場所のひとつです。
アレルギー性結膜炎の主な2つの原因
花粉
スギ、ヒノキ、ブタクサなどの植物から飛散する花粉は、季節性アレルギー性結膜炎の主な原因です。日本では特にスギ花粉が2月から4月頃に多く飛散し、多くの人が症状に悩まされています。花粉は風に乗って広範囲に飛散するため、完全に避けることが難しい原因の一つです。
ハウスダスト・ダニ
家の中に存在するハウスダスト(埃)やダニは、通年性アレルギー性結膜炎の主な原因となります。特に湿度の高い梅雨時や夏場にダニが増殖しやすく、症状が悪化することがあります。
その他の原因
- ペットの毛やフケ
- カビの胞子
- 化粧品や薬品
- コンタクトレンズやその洗浄液
アレルギー性結膜炎のタイプ
アレルギー性結膜炎は、症状が現れる時期や原因によって次のようなタイプに分けられます:
季節性アレルギー性結膜炎(花粉症関連結膜炎)
特定の季節に飛散する花粉によって引き起こされるもので、その季節になると毎年同じような症状が現れます。
日本での主な原因となる花粉
春 | 夏 | 秋 |
---|---|---|
スギ、ヒノキ | イネ科の植物 | ブタクサ、ヨモギ |
通年性アレルギー性結膜炎
一年中症状が続くタイプで、主にハウスダストやダニが原因です。季節による変動は少ないものの、湿度や気温によって症状の強さが変化することがあります。
春季カタル
主に小児から青年期の男性に多く見られる重症型のアレルギー性結膜炎です。春から夏にかけて症状が悪化し、結膜に特徴的な大きな隆起(乳頭)が生じます。紫外線によって症状が悪化することが知られています。
巨大乳頭結膜炎
コンタクトレンズの長期使用などが原因で、まぶたの裏側(瞼結膜)に大きな乳頭状の隆起が生じるタイプです。コンタクトレンズのタンパク質沈着物に対するアレルギー反応が主な原因と考えられています。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎では、次のような症状が現れます。
初期症状
- 目のかゆみ
- 充血(白目の部分)
- 涙が多く出る
進行した症状
- 特に朝起きたときに目が腫れていることがある(まぶたの腫れ)
- 目の中に何か入っているような感覚(異物感)
- 粘り気のある分泌物が増える(目やに)
- 明るい光がまぶしく感じる(光に対する過敏さ)
症状の強さは個人差があり、また原因となるアレルゲンの量や接触時間によっても変わります。症状が重い場合や長期間続く場合は、早めに眼科を受診しましょう。
アレルギー性結膜炎の診断
問診
問診では、アレルギーの家族歴や症状の発症時期、持続期間、症状を悪化させる要因などについてくわしくお聞きします。
眼科検査
- 細隙灯顕微鏡による結膜の観察
- 結膜の状態(充血や乳頭の有無)の確認
アレルギー検査
- 血液検査(特異的IgE抗体の測定)
- 皮膚テスト(必要に応じて)
これらの検査結果と症状から、アレルギー性結膜炎の診断と重症度の評価がおこなわれます。
アレルギー性結膜炎の治療法
抗アレルギー点眼薬
最も一般的な治療法として、抗アレルギー点眼薬が使用されます。肥満細胞安定化薬はアレルギー物質の放出を抑え、抗ヒスタミン薬はかゆみや炎症を抑える働きがあります。また、複合作用型の薬剤は複数の効果を持ち、より高い効果が期待できます。特に花粉症の季節前から予防的に使用すると効果的です。
ステロイド点眼薬
症状が重い場合に使用されますが、副作用(眼圧上昇、白内障など)のリスクがあるため、医師の指示に従って短期間の使用が原則です。
免疫抑制点眼薬
ステロイドの代わりに使用される場合があり、長期使用によるステロイドの副作用を避けることができます。
内服薬
目の症状に加えて、鼻炎などの全身症状がある場合は、抗アレルギー内服薬が処方されることもあります。
免疫療法
アレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)は、特定のアレルゲンに対する体の反応を緩やかに変化させる治療法です。効果が現れるまで時間がかかりますが、長期的な改善が期待できます。
アレルギー性結膜炎を予防するための生活習慣
アレルギー性結膜炎の予防には、原因となるアレルゲンとの接触を減らすことが大切です。
花粉対策
- 花粉情報をチェックし、飛散量の多い日や時間帯の外出を控えましょう
- 外出時はマスクや花粉防止メガネを着用しましょう
- 帰宅時は玄関で衣服についた花粉を払い落とすようにしてください
- 洗顔で目の周りの花粉を洗い流しましょう
- 窓を閉め、室内に花粉を入れないようにすることも大切です
ハウスダスト・ダニ対策
- こまめな掃除と換気を心がけましょう
- 寝具は定期的に洗濯し、天日干しするようにしましょう
- 布製品よりも拭き掃除のできる素材の家具を検討しましょう
- 加湿しすぎない(ダニの繁殖を防ぐため)
- 空気清浄機の使用もおすすめです
コンタクトレンズをご使用の方への注意点
- レンズの定期交換と適切なケアを徹底しましょう
- 症状がある時は眼鏡を使うようにしましょう
- コンタクトレンズの素材や洗浄液にアレルギーがある場合は変更を検討しましょう
日常生活での注意点

- 目をこすらない(症状を悪化させる)
- 清潔なタオルやハンカチを使用しましょう
- 症状がひどい時は冷たいタオルで目を冷やしましょう
- 医師に処方された薬は指示通りに使用しましょう
アレルギー性結膜炎は、
適切な予防と治療によって症状を
コントロールすることができます
原因となるアレルゲンを特定し、接触を避ける工夫をすることが大切。症状が気になる場合は、自己判断せずに早めに眼科専門医に相談しましょう。
特に花粉症の
季節前からの予防的な
治療が効果的です。
当院では、患者さまお一人ひとりの症状や生活環境に合わせた治療プランをご提案しています。アレルギー性結膜炎でお悩みの方は、お気軽にさわだ眼科・皮膚科までご相談ください。